12/8/20「脚気」
12/08/20 19:25 
▼タイトル
「脚気」

▼本文


本年8月号の
日本小児科学会誌に掲載された
ある病気についての報告を
御紹介します。

1歳5ヶ月のおこさんです。
生後8ヶ月頃から
イオン飲料を好んで飲み、
1歳頃から食事量が減って
その代わりイオン飲料を
1日3〜4リットル
飲むようになりました。
体重の増加も
少なくなりました。

病院を受診する数日前から
呼吸数増加、
元気がなくなる、
尿量減少、
むくみ
が認められました。

検査の結果
心不全、腎不全が
おこっていました。

なぜこのようなことが
おこったのか。
それは、
イオン飲料を多量に飲んで
体の中に
多量の糖分が取り込まれ、
その糖分を代謝するために
ビタミンB1が
多量に消費されて
欠乏したからです。

『脚気』という病気を
御存知ですか?
これはこのおこさんに起こった、
ビタミンB1欠乏
による病気のことです。
この病気の場合、
膝をポンと叩いても
膝がピンと伸びなくなります。

古くは江戸時代、
“江戸患い”と呼ばれ、
その後昭和初期までは
毎年1万〜2万人の人が
この病気で死亡していました。
研究が進み、
この病気の原因が
ビタミンB1欠乏であることが
わかりました。
栄養状態が改善し、
この病気は激減しました。

しかし、
清涼飲料水、
インスタント食品
が普及して、
栄養の偏り、
糖分の多量摂取に伴い、
現代人において
この病気の予備軍が
増えていると
いわれています。
またアルコールにも
糖分は含まれているので、
飲みすぎると
(アルコール依存症)
この病気を発症する
可能性があります。

脚気のおこさんについての
日本からの論文報告は、
1992年から
このおこさんを含めて
10人あるそうです。

2人はアレルギーによる
極端な食事制限が原因で、
8人はイオン飲料の
多量摂取によるものです。

年齢は1〜2歳です。
症状は、
食欲低下、
元気がない、
歩行困難、
嘔吐・下痢、
痙攣、
浮腫、
多呼吸、
傾眠
などです。

通常の生活で、
バランスよく食事をとり、
水、お茶、麦茶などを
飲んでいれば、
多少汗をかいても
イオン飲料を
飲む必要はありません。

またスポーツを
しているからといって
イオン飲料ばかり飲むのも
問題です。

勿論イオン飲料に限らず、
清涼飲料水を
日頃の主な水分とするのは
大人もこどもも
絶対に避けなければなりません。
虫歯、肥満の原因にもなります。