14/6/24「イオン飲料」
14/06/24 19:10 
▼タイトル
「イオン飲料」

▼本文


これからの季節は、
スポーツやアウトドア活動などに
熱中症対策は欠かせません。
そのひとつに、
水分・塩分の適度な補給が挙げられます。
イオン飲料を上手に活用するのも
効率のよい方法です。

ただし日常生活においては、
バランスのとれた食事・水分を
きちんととっていれば、
あえてイオン飲料を飲む必要はありません。                              
イオン飲料を毎日飲んで脳症を起こした
おこさんの事例を御紹介します。

10ヶ月児です。
水分補給のため生後7ヶ月から約4ヶ月間、
イオン飲料を1日1リットル以上飲み続けました。
生後10ヶ月頃から1日数回の嘔吐が出現し、
離乳食も食べづらくなり体重が減少しました。
生後9ヶ月半でつたい歩きができていたのが、
生後10ヶ月半頃から出来なくなりました。

イオン飲料の他には約200ml/日の母乳と
市販の離乳食を1/2〜1個/日食べていました。

以前このブログにも
イオン飲料を多量に飲み続けた
おこさんの事例を書きました。

イオン飲料には糖分が含まれています。
ですから多飲すれば
その分多量に糖分が取り込まれ、
その糖分を代謝するために
ビタミンB1が多量に消費されて欠乏します。

ビタミンB1が欠乏すると、
・眼振及び眼球運動障害
・運動失調
・意識障害
を示すWernicke脳症を起こします。

今回のおこさんの場合は、
母乳や離乳食からもビタミンB1は
十分に得られていなかったと考えられます。

ビタミンB1の体内貯蔵量は
成人でも2〜3週間分ほどで、
数週間栄養不足が続くと
ビタミンB1が欠乏する場合があります。

これまでも、
おこさんのイオン飲料の多飲による
この脳症の発症事例は報告されていて、
多飲の原因として、
「イオン飲料は体によいという誤解から
脱水予防として飲みだしてから長期間継続した」
「ミルクや食事摂取量が低下したため
水分補給の目的で飲むようになった」
「震災で避難生活中にミルク代わりに飲んだ」
などがありました。

イオン飲料は日常的に飲むものではありません。
多量に発汗した場合や胃腸炎にかかった場合など、
一時的な水分・塩分補給として活用しましょう。