15/4/6「妊婦の栄養」
15/04/06 13:44 
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「妊婦の栄養」

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週末の雨で桜はかなり散ってしまいました。
今週も週末まで天気はぐずつき、
若干の寒の戻りがある模様です。
8日は中学校、9日は小学校の入学式があります。
新しい門出を迎える皆様が
心身ともに健康な毎日を過ごせますよう
お祈り申し上げます。

さて、妊婦の低栄養がこどもの肥満と関連することが
調査で明らかになったことをお伝えしました。

ところで、
日本では戦後経済的な発展とともに
妊婦の栄養状態はよくなり、
出生体重2500g未満の低出生体重児の割合は
低下していきましたが、
1970年代後半から増加し始め、
平成24年には9.58%と約1割にまで達しています。

これは、
産後の体型を妊娠前と同じにしたい
楽なお産をしたい
といった妊婦の願望や、
妊娠合併症予防のために、
妊娠中の体重増加を制限する指導が行われてきた
ことなどが原因として考えられます。

1986年イギリスの医学者が、
出生体重の低下と心筋梗塞発症リスクが
密接に関係していることを見つけて、
妊娠中の低栄養は、
こどもの生活習慣病発症のリスクを高める
という考え方を提唱しました。

その後の疫学調査で、
低出生体重は
虚血性心疾患、糖尿病、脂質異常症などの
生活習慣病、
閉塞性肺疾患、精神発達異常等のリスクも
高くなることが明らかになってきました。

そのメカニズムとして、
栄養不足の子宮内では、
胎児の体は低栄養で生き抜けるように変化します。
生後は十分なカロリーの栄養を与えられ、
その環境に体が適応できなくなり、
やがて病気を発症すると考えられています。
この現象は多くの動物実験でも実証されています。

またこの子宮内で起きた変化の多くは一生不変か、
ときに次世代まで存続していくことも
明らかになってきました。

現在女性のやせ願望は強くて、
20代では2割以上がやせ(BMI18.5以下)ていて、
妊娠してからも摂取エネルギーが不足していて、
その結果、
こどもの出生体重の低下傾向につながっています。

食習慣はこどもの頃の影響が長く続く場合が多いです。
こどもの頃からバランスのとれた食習慣を身に着けて、
未来のこどもたちの健康につなげていきましょう。