15/10/10「歯ブラシ事故」
15/10/10 21:55 
▼タイトル
「歯ブラシ事故」

▼本文


国立成育医療センター救急センターを
2012年の1年間に受診した16歳未満の小児で、
軽微な転倒転落によって
下顎・口唇・咽頭など口腔領域内外の損傷症例について
検討した報告から抜粋します。

*単純挫創群
 立位や歩行時の転倒もしくは低所(1m以内)からの転落で、
 床や地面、家具などの対象物により損傷した人
⇒平均年齢29.5か月
⇒128人(男児78人、女児50人)
⇒縫合処置あり30人、処置なし98人
⇒全員帰宅経過観察となる

*異物挫創群
 把持していた異物により損傷した人
⇒平均年齢22.0か月
⇒43人(男児30人、女児13人)
⇒頭部CT施行15人、処置検査なし28人
⇒入院加療10人、帰宅33人
⇒入院加療10人中全身麻酔をして処置5人
⇒入院加療10人中集中治療管理4人

異物挫創群の原因異物
 第1位;歯ブラシ24人
 第2位;スティック・玩具5人
 第3位;楽器類・筆記具2人

歯ブラシが原因
⇒24人中15人は年齢17か月以上30か月以下
⇒24人中、8人;入院 3人;集中治療管理

異物挫創群は単純挫創群と比較して、
午後7〜9時台での受傷が有意に多い。
(43人中26人)
特に歯ブラシによる受傷は28人中18人(75.0%)

歯ブラシによる受傷者は、
歯ブラシを把持したまま室内を歩き回ったり、
遊んだりして受傷していた。
つまり、
受傷時期は幼児期前期の歩行が上手になってきた頃である。

筆者は、
「小児の転倒転落時には、
 歯ブラシによる受傷を予防すべきで、
 就寝前の歯ブラシは受傷のリスクが高く、
 歩行開始以降の幼児には
○歯ブラシを把持したまま室内を歩かせない
○鏡の前で歯ブラシをさせる
 ようにする。」
と述べています。

このブログでも以前、
歯ブラシによる事故についてお伝えしました。
北米では、
生活習慣として洗面所の鏡の前で
歯ブラシを使用する習慣が浸透していることで、
異物挫創の原因として歯ブラシは下位に位置しています。
(上位は、スティック、日用品、厨房器具)
また、
古くから歯ブラシ中には保護者が目を離さないように
注意喚起されています。

受傷の時間帯が午後7〜9時台ということは、
家事などで丁度おこさんから目が離れてしまう時間です。

歯磨きタイムをおこさんがどうやっているか、
再確認してみましょう。
そして、
大人が歯磨きを洗面所以外の場所で、
何かをしながらやっていないか振り返ってみましょう。
こどもは大人の真似をしがちです。