17/6/17「騒音性難聴」
17/06/17 19:40 
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「騒音性難聴」

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梅雨なのに雨の少ないお天気が続いています。
予報では来週火曜日以降は
梅雨らしい天気になる模様です。
お掃除・お洗濯など、
今週末をご活用ください。

さて、
これまでメディアと視力については
このブログでお伝えしてきましたが、
メディアの聴力への影響については触れていませんでした。

今回、
スマートフォン(スマホ)などの
ポータブルオーディオプレイヤーの聴力への影響について、
耳鼻科医の先生の論文を読みましたので、
その内容についてお伝えします。

2015年に世界保健機関(WHO)は、
世界中で11億人もの若者が
スマホ等のポータブルオーディオプレイヤーの不適切な使用や、
クラブやイベント等での強大音への暴露により
将来難聴になる危険があると報告していて、
「将来の難聴を予防するには、
スマホなどでの音楽鑑賞は音量を下げて、
1日の使用時間は1時間以内にすべきである」
と警告しているそうです。

大きな音の聴力への影響は、
音響外傷や騒音性難聴が知られていて、
音響外傷は、
一時的に強大音を聞くことで内耳障害が起きることで、
一時的なもので回復の可能性はあります。
騒音性難聴は、
比較的大きな騒音に長期間暴露されて
徐々に内耳障害が起きることで、
不可逆的な変化で回復は見込まれません。

長時間の不適切な
ポータブルオーディオプレイヤーの使用による難聴は
騒音性難聴であり、
気づいたときにはすでに改善の見込みはありません。

騒音性難聴は、
通常は騒音下の職場での長時間勤務により起こる難聴で、
就業から5〜15年で徐々に進行すると言われています。
強大音の刺激で蝸牛内の有毛細胞は減少し、
これは不可逆性の変化です。
スマホなどの音響による内耳障害は、
この騒音性難聴と同じ機序で起きます。

10代から日常的に強大音の暴露を続けていると、
20〜30歳代には症状が出現するということです。
5年以上ポータブルオーディオプレイヤーで
音楽を聴いていた学生(13〜18歳)では、
使用していない学生と比べて、
高音域の聴力が有意に悪化していたとの報告があります。

85dB以下の音量で8時間以内であれば
聴力への影響はないという報告があります。
海外の報告では、
多くの若者が75〜100dBの音量で音楽を聴いているそうです。
機種により最高音量は異なり、
120dBに達するものもあり注意が必要です。
最大音量の50%で使用すれば安全で、
最大音量の80%で使用するならヘッドホンを用いて
90分以内であれば安全との報告もあります。 

屋外で使用する場合、
周囲がうるさいと音量を上げて聴くので、
さらに注意が必要です。
スピーカー<ヘッドホン<イヤホン
の順に音量を上げがちなので、
スピーカーやヘッドホンで聴く方が安全です。

難聴に対しては有効な治療はなく予防が重要です。
ポータブルオーディオプレイヤーで音楽を聴く、
あるいはオンラインゲームなど
特に戦闘系のものは音量が大きいようなので、
音量を上げずに使用すること、
1日の使用時間を決めるなどしましょう。

耳鳴りは聴力障害の前兆なので、
耳鳴りを自覚したら使用を中止し、
しばらく耳を休めましょう。