18/3/28「睡眠と神経細胞」
18/03/28 13:39 
▼タイトル
「睡眠と神経細胞」

▼本文


先日睡眠のことを書きました。
今回は睡眠と神経細胞についての
研究結果をご紹介します。

東京大学の研究グループは、
脳の海馬から発生する「sharp wave ripple(SWR)」
という脳波が、
睡眠中に神経細胞間のつながりを弱めて、
脳回路をクールダウンさせることを発見しました。

脳内にある海馬が学習や記憶に関わっていることは
以前より知られています。
神経細胞はあるレベルに到達するとそこで飽和して、
それ以上の記憶ができなくなり、
そのため何らかの「クールダウン」の機構が
海馬にそなわっていることが予想されてきました。

そこでまずグループは、
睡眠中のマウスを使って、
神経細胞間のつながりの強さの指標となる
興奮性後シナプス場電位(fEPSP)を測定し、
睡眠の経過とともにこのfEPSPが減弱して、
睡眠中は神経細胞間のつながりが弱まることを
確認しました。

次に、
マウスの睡眠中に、
脳の海馬から発生するSWRという脳波を阻害しても、
fEPSPは減弱しませんでした。
SWRを7時間阻害し続けたマウスは、
脳回路の興奮性が高いままで、
十分な睡眠をとっていても
寝不足のような状態になりました。
つまり、
SWRが睡眠中に海馬の神経細胞間のつながりを弱め、
海馬の神経回路をクールダウンしていることが
明らかになりました。

さらにグループは、
記憶に関わる神経細胞と
そうでない神経細胞を区別できるマウスを用いて、
SWRが発生しているときの
神経細胞の活動を観察しました。
その結果、
睡眠直前の記憶に関わっていない神経細胞の活動だけが
弱まっていることがわかりました。
つまりSWRは、
記憶に関連しない神経細胞のつながりだけを弱めていて、
睡眠中に効率よく記憶が整理されていることが
推察されました。

寝る間も惜しんで勉強や仕事ではなく、
自分はしっかり眠って、
その間脳には記憶を整理してもらい、
おきている間は心身共に
気分爽快で活動しましょう。

ぽかぽか陽気の今日この頃。
桜は満開です。