19/3/21「人見知り」 19/03/21 14:22 ▼タイトル 「人見知り」 ▼本文 春分の日の午後のひと時。 皆様如何お過ごしでしょうか。 熊本市は雨が止みました。 昨日は多くの小学校で卒業式が執り行われました。 卒業生、 ならびに保護者の皆様おめでとうございます。 ますますのご成長を心からお祈り申し上げます。 さて、 多くのおこさんが、 4月から新しい環境(入園・入学・進級)での生活が始まります。 慣れるまでにはそれぞれのペースがあります。 人それぞれの気質が、 社交的なのか内向的なのか回避的なのか、 そのことも影響するでしょう。 2013年に、 東大・京大・同志社大・理研の合同研究チームが、 あかちゃんの「人見知り」行動について解析しました。 以下、 研究内容を抜粋します。 チームは、 生後7〜12か月のあかちゃん57名を対象に、 気質調査と視線反応計測を行いました。 気質調査の結果、 人見知りが表れる時期は個人差がとても大きく、 一般的にいわれている生後8か月ではありませんでした。 あかちゃんの「怖がり」と「接近」の気質について 回答してもらいました。 怖がり;相手から離れたい=回避行動を支える気質 接近;相手に近づきたい=接近行動を支える気質 その結果、 人見知りの強いあかちゃんは 「接近」と「怖がり」の両方の気質が強いことが分かりました。 心の中に相反する感情が存在し、 いずれをとるか迷うことを「葛藤」といい、 この研究で初めて、 1歳前のあかちゃんでもすでに 「葛藤」を抱えた状態で人見知りをすることが示唆されました。 視線反応計測では、 人見知りの強いあかちゃんが どのように母親・他人を見ているのか、 相手の何に注目しているのかを調査しました。 あかちゃんには以下の3種類の顔を見せました。 @母親 A他人 B半分母親(母親と他人の半分ずつ融合させた顔) その結果、 人見知りの強いあかちゃんも弱いあかちゃんも違いはなく、 @母親A他人の顔をよく見ていて、 B半分母親は見ていませんでした。 つまり、 人見知りが強くても、 他人の顔をよく見ており、 「半分母親」を見ないことから、 相手の顔を正しく認識していることが分かりました。 そして、 人見知りの強い・弱いあかちゃんが同じ目の動きをするのか、 目・鼻・口のパーツ別に注視時間を解析しました。 その結果、 人見知りの強いあかちゃんは弱いあかちゃんよりも、 相手の目の部分を長く見ました。 特に最初に相手と目が合った時に、 凝視するような敏感な目の動きを示しました。 最後に、 自分と向き合った顔(正視顔)と よそ見している顔(逸視顔)を同時に見せました。 その結果、 人見知りの弱いあかちゃんは正視顔、 人見知りの強いあかちゃんは逸視顔、 を長い時間見ていました。 このことから、 人見知りの弱いあかちゃんは相手とコミュニケーションをとろうとし、 人見知りの強いあかちゃんは自分を見ている相手の顔から目をそらし、 自分を見ていない相手をよく観察していたといえます。 以上のことから、 1歳前の人見知りの強いあかちゃんは、 「相手に近づきたい」 「相手から離れたい」 という相反する行動の狭間で、 相手の目を凝視しつつも、 相手に見られ続けると目をそらし、 相手が目をそらすと相手をよく観察しているという、 情動的感受性を発揮した行動をしていることが示されました。 人見知りが強いおこさんが、 これからの新しい環境で出会う人に対して 「接近と回避の葛藤」をみせるかもしれません。 しばらくは温かい目で見守って、 次第に慣れてくることを信じましょう。 最近植えられた、 医院前の遊歩道沿いの桜の花が咲きました。 |