20/7/31「乳幼児の皮膚」
20/07/31 20:33 
▼タイトル
「乳幼児の皮膚」

▼本文


新型コロナウイルス感染症が広がっています。
明日から熊本市内の小・中学校は夏休みに入ります。
行動範囲が制限されますが、
楽しい思い出ができますように。

そして本格的な暑い夏到来です。
昨日の熊本市の最高気温は34.9℃。
これからしばらくはかなり暑い模様です。
日焼け・あせも対策を致しましょう。

さて、
おこさんの皮膚に関する話題です。

おこさんの皮膚は乾燥肌
ということはわかっていたことです。
実際にどの程度乾燥しているのか、
機器を用いて数値化した論文が
東北大学皮膚科・ピアス中央研究所から報告されましたので
抜粋してご紹介します。

*対象

・2か月〜6歳7か月の乳幼児(男女)
 夏季(7〜9月)55名 冬季(12〜2月)58名

・20代女性
 夏季(7〜9月)9名 冬季(12〜2月)8名

*方法

・前額部、頬部など10部位の測定

・角層(表皮の一番外側の層)水分含有量;角層の柔軟性やキメなどに影響

・経表皮水分蒸散量;汗によらず角層を通って蒸散する僅かな水分量

・皮表脂質量;皮脂は皮膚の保護・緩衝・殺菌作用などがあるとされている
 以上3つを専用の測定器で計測

・夏季(7〜9月)と冬季(12〜2月)の2回実施

*結果

・角層水分含有量
 成人と比較し、
 多くの部位で乳幼児では夏季・冬季とも低かった。
 前額部、頬部、頸部が著明に低く、
 その傾向は夏季の方が冬季よりも強い。
 
・経表皮水分蒸散量
 乳幼児は夏季・冬季ともに成人と比較して、
 前額部と頬部以外の部位で高値であった。
 0、1歳児の方が4〜6歳児と比べて
 経表皮水分蒸散量は高値である部位が多く、
 頸部・肘窩・背部では
 低年齢の経表皮水分蒸散量は非常に高かった。

・皮表脂質量
 成人と比較して乳幼児の皮表脂質量は少なく、
 1歳以上の年齢では
 皮表脂質がほとんど認められなかった。
 全部位で季節変動は認められなかった。

*考察

・乳幼児皮膚の大きな特徴として、
 成人と比較して角層水分含有量が低く
 経表皮水分蒸散量が高い。
 ⇒バリア機能が未熟

・部位の特徴
 乳幼児の前額部、頬部、頸部の
 角層水分含有量は成人と比べて顕著に低い。
 0歳児が最も高く年齢とともに減少。
 ⇒0歳児を除く幼児の皮表脂質量測定感度以下が影響している

・頸部と肘窩は成人と比べて
 乳幼児の経表皮水分蒸散量は特に高く、
 低年齢の方が強かった。
 ⇒いずれも間擦部でバリア機能が悪化する

・季節変動
 乳幼児は多くの部位で
 夏季より冬季の方が経表皮水分蒸散量は高い。
 頸部と肘窩は夏季の方が高い。

・1歳以上の幼児は全身のほとんどの部位で
 皮表脂質量は感度以下で、
 角層水分含有量は低く
 経表皮水分蒸散量が高いので、
 皮脂膜が少なく乾燥して、
 外的刺激を受けやすい。

・季節に関わらす全身のスキンケアを推奨。
 特に可動域の頸部と肘窩はバリア機能が低いので、
 擦らずに丁寧にスキンケアを行う。
 角層水分含有量の少ない顔面は乾燥して
 重点的にスキンケアをする。

夏場、
空気は乾燥していないからこどもの肌も潤っていると考えず、
年間を通してお肌の保湿を行っていきましょう。