20/8/4「ペット」
20/08/04 20:27 
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「ペット」

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8月に入り暑い毎日です。
皆様如何お過ごしでしょうか。

さて、
環境省が行っているエコチル調査については
これまでもお伝えしてきました。

この調査は、
赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときから13歳になるまで
健康状態を定期的に調べる調査です。
全国15地域・10万組のこどもとそのご両親が参加されています。

そのエコチル調査結果が、
北海道地区から昨年12月に論文として発表されました。

「生後早期のペット飼育と子どもの発達」のタイトルです。

*目的
 
 生後早期の猫・犬の飼育状況と子どもの発達の関係を検討すること。

*方法

 エコチル調査を用いて、
 生後6か月時点での猫・犬の飼育状況と、
 12か月の子どもの発達について検討。
 子どもの発達評価はASQ−3を用い、
 ペットの飼育状況は6か月時点の質問票から入手。
 両方の情報がそろう78,868名について解析。

*結果
 
 犬の飼育があった子どもでは、
 犬の飼育がなかった子どもと比べて、
 ASQ−3の全ての項目(以下の5項目)において、
 ・コミュニケーション
 ・粗大運動
 ・微細運動
 ・問題解決
 ・個人、社会
 発達の遅れのリスクが有意に低かった。
 猫の飼育との関連はみられなかった。

*考察

 ・犬の飼育は精神発達にプラスの影響がある可能性が示された。
 ・犬とのふれあいが発達に良い何らかの効果がある可能性を示唆した。
 ・しかし犬の飼育については、
 アレルギー
 感染症
 ケガ
 などマイナスの影響も考慮する必要がある。

勿論、
この論文では犬の飼育を推奨はしていません。

犬、猫からの感染症はいろいろあります。
狂犬病は発症すれば致死率ほぼ100%の恐い病気です。
日本では昭和32年以降、
動物における流行は確認されていません。
しかし外国ではまだ多く、
日本に入って国内で蔓延するのを防ぐため、
犬の登録と毎年度一回の狂犬病予防注射は
飼い主の義務となっています。

その他、
レプトスピラ症、パスツレラ症、リステリア症、猫ひっかき病などなど。

また、
犬や猫に咬まれたり引っ掻かれたりして、
ケガを負うこともあります。

熊本市内の基幹病院の勉強会で、
0歳男児が睡眠中に、
自宅で飼っているミニチュアダックスフンドに
陰部を噛みちぎられた症例を提示されました。

また、
全国区の研修会に参加した時にも、
上記とほぼ同じで、
0歳男児の陰部を
ミニチュアダックスフンドが噛んだ
事例の報告がありました。

尿のにおいに反応するのではないかと言われています。

ミニチュアダックスフンドは見た目とても愛らしいのですが、
元来小さな穴での猟(アナグマ猟)ができるように
改良された狩猟犬だそうです。
筋肉質で、
力強く引き締まった口をしています。

よって、
犬や猫の性格・特性も飼育にあたっては
熟知しておく必要があるでしょう。

また保護者が見ていない場合の、
乳児と犬・猫との距離感にも配慮する必要があります。