20/8/29「ヨウ素系うがい薬」
20/08/29 15:56 
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「ヨウ素系うがい薬」

▼本文


今日も熊本市は猛暑日となっています。
14時までの最高気温は35.8℃。

当院は27日から本日まで
休診させていただいております。

私は本日午前中は、
医院の草取りをしました。
お隣の空き地から
つる草がフェンスを伝って伸びていたので、
刈込鋏でジョキジョキ切りました。

長袖・長ズボン、
顔には日焼け止めを塗りました。

作業前・中・後には、
水分をたっぷり補給しました。

皆様も戸外で活動の際は、
くれぐれもお気を付けください。

さて、
大阪府の知事が
「ポピドンヨードが含まれているうがい薬でうがいをすると、
新型コロナウイルスの陽性者が減っていくのではないかという
研究結果が出た」
と述べたことで、
ポピドンヨードうがい薬が品薄になるという現象が起きました。

これを受けて、
日本甲状腺学会が見解を示しましたので要約します。

*新型コロナウイルス感染症に
 ヨウ素の含まれるうがい薬が有効であるかについては、
 現時点では、
 科学的に評価のできる論文が発表されておらず、
 重症化予防などの効果は明らかでない。

*ヨウ素には殺菌作用・殺ウイルス作用があり、
 消毒剤として広く使われている。
 しかし、
 ヨウ素系うがい薬には7%の「ポピドンヨード」が含まれ、
 15〜30倍に希釈して使用するが、
 1回のうがい薬には14〜28rのヨウ素が含まれる。
 このうち口腔・咽頭粘膜から体内へ吸収されるヨウ素の量は不明。
 食品から摂取する量よりもかなり多いヨウ素が
 吸収される可能性がある。

*ヨウ素は生命維持に必須の甲状腺ホルモンの原材料だが、
 必要量以上に摂取すると、
 甲状腺機能に異常が起こることがある。
 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020」では、
 1日に摂取して良いヨウ素の上限量は3r。
 一時的にこの量を越えて摂取しても構わないが、
 長期間にこの量を越えて摂取することは
 甲状腺機能にとって好ましくない。
 多くても1週間に20rまでと考えられている。

*ヨウ素系うがい薬の使用上の注意点
 
 1)口腔内で数秒、うがいをするのみで、飲み込まない。

 2)甲状腺機能異常をおこさないヨウ素系うがい薬の
  安全な使用頻度と使用期間については現在明らかでない。
  5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は
  使用を中止する。

 3)甲状腺の病気・甲状腺の病気にかかったことのある方は
  特に注意が必要。

次に、
国立成育医療研究センターの見解を要約します。

妊婦さんや授乳婦さんは、
ヨウ素系うがい薬によるうがいを行った場合、
容易に1日の摂取上限量を超えることになるので注意が必要。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料。
日本人成人の摂取上限量は3r/日。
妊婦・授乳婦では2r/日。

食品では海藻に多く含まれ、
日本では食生活の特徴からヨウ素の欠乏はあまり見られない。
妊娠中・授乳中の長期の過剰摂取は、
母だけでなく赤ちゃんの
甲状腺腫大や甲状腺機能異常の原因になるといわれているので、
感染予防としての日常的な
ヨウ素系うがい薬の使用は避ける。

ポピドンヨードうがい薬の使用によるヨウ素摂取量の目安は、
用法どおりに使うと1日あたり約4rのヨード摂取になることが
報告されている。

以上より、
毎日のヨウ素系うがい薬の使用は控えましょう。

台風9号が北上しています。
来週水〜木曜日に熊本に接近しそうです。
くれぐれもお気を付けください。