21/6/13「日本の乳幼児は話者の目を見る」
21/06/13 18:39 
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「日本の乳幼児は話者の目を見る」

▼本文


日曜日の夕暮れ時、
皆様如何お過ごしでしょうか。

明日から、
熊本県に発出されていた
新型コロナウイルス感染症対策
「まん延防止等重点措置」が解除されます。

熊本県の感染者数はかなり減少しましたが、
引き続き感染対策の基本を実行していきましょう。

さて、
本年5月に京都大学などの研究チームが、
日本の乳幼児の視線計測をおこない、
「日本人は話者の目を見て、
 英語母語者は口を見る」
という大人で報告されていた文化・言語差が
幼少期から存在することを見出しました。

これまで欧米からは、
「生後数か月の乳児は目を選好するが、
 生後6か月以内に口への選好が明確になる」
と報告されていました。

今回の研究は、
生後6か月から3歳までの日本人の乳幼児120人
および成人12人に、
10秒ほどの物語文を発話している女性話者の動画を視聴させ、
参加者がどこを見るか視線計測を行いました。

*結果

・日本の乳児でも「目から口へ注意がシフトする」傾向はみられたが、
 その変化の開始時期は遅く、
 変化の割合もずっとゆるやかで、
 明瞭な口の選好には至らなかった。
 つまり、
 日本の乳児は、
 目への選好を基調として持ち続けることを示唆する。

・3歳になると、
 ノイズを加えない明瞭な音声では目の選好が回復し、
 ノイズを強く加えた条件では口を見るという
 状況に応じた視覚的発話情報の利用傾向も見られた。

・2〜3歳では
 しゃべる語彙の多い子ほど
 目をよく見ることがわかった。
 ⇒語彙の発達が進み既知の語が多くなると、
  発話を聞き取るために口を見る必要がなくなり、
  話者の感情推定など
  社会的情報の処理のために
  目を見るようになるのが
  日本人の特徴かもしれないと
  研究チームは考察しています。

コロナ禍の現在、
外では多くの人がマスクを着用しています。
その影響が乳幼児の言葉の発達に
どういう影響を及ぼすのか、
今後検討されるかもしれません。

日本の乳幼児は
話者の目を選好していますので、
乳幼児に話しかける際には、
スマホやテレビの方を見ながらではなく、
しっかりと目を見て語りかけましょう。