21/7/11「子宮頸がんワクチン」
21/07/11 15:26 
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「子宮頸がんワクチン」

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昨日南九州は大雨でしたが、
本日一転して梅雨明けが発表されました。

熊本の今週の予報では傘マークはでていません。
最高気温は30℃以上となっています。

日曜日の昼下がり、
皆様如何お過ごしでしょうか。

今日私は午前中に草取りや剪定などしました。
運動したわけではないのですが、
それなりに汗をかき、
強い日差しではなかったのですが、
終わったらしばらくボーっとしてしまいました。

外遊びではこまめに水分を補給し、
時々は日陰で休憩をし、
熱中症を予防しましょう。

さて先日、
感染症の専門の先生の講演をリモートにて視聴しました。
テーマは「子宮頸がんワクチン」についてでした。

現在日本では毎年約1万人の女性が子宮頸がんにかかり、
約3000人が死亡しています。

そして、
以前はピークが40〜50歳代であったのが、
最近は20〜30歳代の若い女性が増加しています。

子宮頸がんのほとんどが
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。
HPVは男女ともに感染し、
感染率は男性の方が多いとのことです。

性交経験のある女性の多くは
一度は感染機会があると言われ、
90%の人はウイルスが免疫力で自然に排除され、
10%の人で長時間持続感染し、
このうちの一部の人で
異形成と呼ばれる前がん病変を経て、
数年以上をかけて子宮頸がんに進行します。

日本では2013年4月から
子宮頸がんワクチンは定期接種となりましたが、
接種後に多様な症状が生じたとする報告により、
2013年6月より積極的勧奨は差し控えられています。

2015年に名古屋市で1994年〜2000年度生まれの
15〜21歳の女性30793人に調査が行われました。
その結果、
ワクチン接種者と非接種者において、
多様な24症状の起こりやすさについては、
両者に有意差は認められませんでした。

また、
2015年7月1日〜12月31日時点の年齢12〜18歳の男女で、
HPVワクチン接種後に生じたとされる症状と同様の
多様な症状を呈する者はどの程度いるのか、
全国18302診療科を対象に調査が行われました。
その結果、
接種歴のない者にも、
HPVワクチン接種後の症状として報告されている症状と同様の
多様な症状を呈する者が一定数存在することが判明しました。
つまり、
多様な症状がHPVワクチン接種者に特有の症状ではないことが
明らかになりました。

そして、
HPVワクチン接種歴があり症状を呈した方で、
症状をフォローアップできた156人中115人においては
症状が消失または軽快しているそうです。

世界においては、
早期にHPVワクチンを
国のプログラムに取り入れた国々では、
ワクチン接種世代において
HPV感染率の劇的な減少が示され、
さらにがんの発生が有意に低下していることが
報告されています。

また、
ワクチン接種率が高くなるとみられる
集団免疫効果がみられる国もあります。
つまり、
HPVに感染している人の絶対数が減少し、
接種していない人も感染する機会が減少し、
社会全体として減少していくことが生じています。

日本からも
HPVワクチンの有効性に関する報告はでています。

しかし、
現状の日本におけるワクチン接種率は
2002年度以降生まれの女子は
1%未満と算出されています。

今の状況では、
日本における子宮頸がん発生の増加が危惧されています。

本年度は、
熊本市から中学1年生と高校1年生を対象に、
子宮頸がんワクチンについてのお知らせが配布されています。

定期接種対象者は、
小学校6年生から高校1年生相当の女子となっています。

日本産科婦人科学会では、
子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
ホームページで解説しています。
ぜひ御参照ください。
http://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4

また、
HPVワクチンのひとつ「ガーダシル(4価ワクチン)」は、
2020年12月25日に9歳以上の男性にも接種適応となりました。
上述したようにHPVは男性にも感染し、
男性も罹患する中咽頭がん、肛門がん、陰茎がん
などの原因となります。
ただし、
男性の接種は定期ではなく任意(有料)です。

新型コロナウイルス感染症は
首都圏を中心に増加傾向にあります。
引き続き感染予防の基本を実行して参りましょう。

アサガオが咲いています。